企業防災のポイントとは?災害対策として企業が重要視する観点

   

2019年6月18日深夜に発生した新潟・山形地震をはじめ、自然災害は私達の生活環境を一変させる可能性を持っています。
自然災害はいつ起きるのか予測できないものであるからこそ、事前に最善の準備・対策を行うことが唯一の対策です。企業はこのような状況に対してどのような準備を行うべきでしょうか。企業防災についての基本的なアプローチを概観します。

なぜ企業が災害対策を行うのか

いかなる状況でも企業は顧客や従業員の生命の安全を第一に考えなければなりません。これは決して道義的なものでなく、国の防災基本計画(http://www.bousai.go.jp/taisaku/keikaku/kihon.html)にもその必要性は記されています。

日頃の災害対策は企業を守るために必要不可欠です。BCPの導入有無の差で、震災後の事業再開に2カ月以上の差が生じたことに加え、導入していた企業は全面復旧に成功したのにも関わらず、怠った企業は大規模な縮小を余儀なくされたといった事例があることからも、その重要性は目を離せません。

また、災害対策は少しでも多くの企業が行わなければ十分な効果が出ません。一企業の災害対策が不十分であっただけで、取引関係のある会社ないし事業全体が業務の停止に迫られます。サプライチェーンが複雑化すればするほど、その責任と必要性も大きくなることを企業は意識しなければなりません。

企業防災と事業継続計画(BCP)の違いとは?


企業防災とBCPは、厳密には等号で結ばれるものではありません。災害に対して企業が行う取り組みには、大きく分けて以下に記したような2つのアプローチがあります。

  • 災害によって生じる人的・物的被害を最小にする「防災」の観点からのアプローチ
  • 災害に遭っても企業活動をできるだけ維持し、平常状態への早期回復を目指す「事業継続」のアプローチ

防災アプローチとは、「防災訓練」「耐震補強」「備蓄」などを主に行います。
一方、事業継続アプローチは、「業務を中断させないためのバックアップ体制の整備」や「復旧手順のマニュアル化」などを行い、これらは一般的に事業継続計画(BCP)と呼ばれます。

このように、BCPはあくまでも企業防災の1構成要素として存在しているわけですが、どちらが災害対策としてより優れているといったことはありません。寧ろ両者は密接に関わり合い、共通している部分もあるからこそ、企業防災の両輪として推進すべきものであるといえます。

企業防災の具体的な方法

企業防災には「防災」の観点と「事業継続」の観点という2種類のアプローチがあることを紹介しました。次はそれぞれのアプローチで必要な具体的な方法を紹介します。

「防災」アプローチ

  • 具体的な災害を想定し、必要な対策の立案とマニュアル化
  • 食料や医薬品などの備蓄(従業員および顧客分)の確保
  • 耐震補強策の実施
  • 出火や家具の落下といった二次災害防止策の策定
  • 自社内への防災計画の周知・啓発と訓練の実施
  • 自治体と災害時の支援協定の締結、地域の防災訓練への参画

「事業継続」アプローチ

  • 緊急時の経営に関する意思決定ルールの作成
  • 迅速に従業員、顧客の安否を確認できる体制の構築
  • データのバックアップと重点業務を代替できるバックアップシステムの整備
  • バックアップオフィスの確保

ここに記載されている方法はあくまでも一例にすぎません。また、事業によってどこに力を入れる必要があるかも異なっていきます。自分たちには何が必要かといったことを検討することは、防災対策の第一歩であると同時に最も重要な対策方法です。

企業防災の事例


企業が対策を講じた結果、事業の早期回復に成功した事例として新潟県長岡市のスーパーマーケットの経営を紹介します。

2004年の新潟中越地震で県内22店舗の商品や建物が被害を受け、そのうちの3店舗は被害が甚大であったため閉鎖するに至ったスーパーマーケットは、「震災時においても店舗を開店する」という目標を設定しました。

実際に行った防災対策

  • 被災地で高需要な商品の洗い出しと搬入ルートの整備
  • 被災体験を反映したマニュアルの策定
  • 第二物流センターや商品仕分け機に地震計連動緊急停止装置設置といった設備投資

結果、2007年の新潟県中越沖地震の際、被災した7店舗のうち、当日に4店舗、翌日に2店舗、3日後に1店舗が店内営業を再開することに成功しました。

ハード面での被害軽減はもちろん、事業継続を念頭に経営陣が先頭に立って実行した結果、「震災時においても店舗は開店する」という目標が全社的に共有され、各店舗が迅速な対応につながった例です。

企業における災害対策のポイント


災害対策で重要となるのは、一度の策定や訓練で済ませず、「点検」「見直し」を繰り返し改善していくことです。その際、一部の経営者だけで完結させず、事業に関わる全員が災害対策に意識を向ける必要性があります。

財団法人労務行政研究所が2012年1月に行ったアンケートによれば、それが時期として東日本大震災の発生から1年以内に行ったものであるにも関わらず、約6割のビジネスパーソンが、「自分の周囲で震災の教訓に対する意識は薄らいでいる」と回答しました。

企業防災における災害教訓の風化

災害教訓の風化は対策に抜けを生む最大の原因です。
私達が気付かないだけで、常に災害の可能性は生活のどこかに潜んでいます。どのような災害があるか知り、意識することは、対策自体の充実はもちろん、有事の際における個人個人の行動の向上に繋がります。

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