SNS時代に注目されている「ソーシャル防災」をやさしく解説

      2019/07/19

「ソーシャル防災」とは?

ネット上でリアルタイムの情報がやり取りされるようになった昨今、「ソーシャル防災」が注目されています。
ソーシャル防災はどのようなもので、なぜ注目されているのでしょうか。わかりやすく解説します。

ソーシャル防災の定義

ソーシャル防災とは、twitterやFacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて防災や減災に関する情報を発信したり、収集したりする取り組みのことです。
災害が起きた時にSNSを通じて情報収集したり安否確認を行うことは、もはや当たり前のことになりつつあります。
2016年の熊本地震では、常にSNSが被災者にとって大きな情報源だったことが明らかになっており、その影響力はテレビと並ぶほどです。
これに伴って、情報を提供する側の企業や官公庁、自治体でも、報道では把握できないリアルタイムな被害や救援物資などの不足状況を、SNSを通じて収集することが増えています。
このような発信・受信(収集)の取り組みをソーシャル防災と呼びます。

なぜソーシャル防災か

では、なぜソーシャル防災が注目されるようになってきたのでしょうか。主に以下の2つの理由が挙げられます。

① 報道では得られない重要な情報がSNSを通じて発信されるようになった

SNSは即時性、つまりリアルタイムに情報をやり取りできることが特徴です。
報道機関が放送までに取材・編集する時間を要する一方で、SNS上の情報ならば今何が起きているのかを知ることができます。
今では、報道機関も取材活動の一環としてSNS上の情報を重視しています。
防災という視点からSNS上の情報が重視されるようになったのは、2011年の東日本大震災がきっかけです。孤立している被災者がスマートフォンから救助を求めるツイートをするとその情報が拡散されて救助につながったり、避難所などで足りない物資の情報を発信して調達に成功したりと、SNS上の情報は無視できないものになりました。
さらに、災害時には緊急事態が広範囲で多数発生します。
電話回線の輻輳や報道機関の処理限界もあるなか、自らSNSを通じて災害情報を収集することはもはや不可欠と言えます。

②一般の人にとって、SNSが緊急時の情報収集ツールとして重視されつつある

一般のSNS利用者にとっても、災害などの緊急時にSNSで情報収集することはもはや常識となりつつあります。
例えばtwitterのさまざまなアカウントを見てみると、NHKの生活・防災アカウントは100万人近いフォロワーを集めていますし、首相官邸の災害アカウントに至っては250万人以上のフォロワーを抱えています。
それだけ多くの人が災害などの緊急時にtwitterを頼りにしている証左と言えます。

ソーシャル防災の事例

では、ソーシャル防災の事例としてはどんなものがあるのでしょうか。主なものを3つ紹介します。

①防災情報の発信

まず挙げられるのは、地方自治体や首長などの公的セクターによる防災情報の発信です。
全国自治体の半数以上がSNSで情報発信を行っており、全人口の約86%をカバーしているとの調査結果もあるほか、知事や市町村長といった首長の発信も目立つようになってきています。
例として、2018年9月の台風21号で大きな被害を受けた大阪府の例を見てみましょう。
高槻市の公式アカウントでは避難所の情報を発信していたほか、大阪市では市長が自らのアカウントで市内の学校の休校を伝えるなど、住民に必要な情報をツイッターで積極的に発信していたことがわかります。

②防災情報の収集

そして、SNS上の防災情報を収集する取り組みです。
リアルタイムの情報を手に入れることで、すばやい初動が可能になります。
SNSでの情報発信はすでに全国自治体の半数以上で行われている一方で、情報収集では手探りの状況が続いているようです。
調査によると、SNS上の情報収集に実際に取り組んでいる自治体は全国自治体の1%程度にとどまっています。
この状況は自治体に限らず、一般企業にも共通していると考えられます。
情報収集の手段として、JX通信社が提供するFASTALERTが考えられます。
これらのサービスは、AIを活用してSNSに投稿された情報をリアルタイムで分析し、利用者に配信するものです。
すでに全国のテレビ局・新聞社のほとんど全てが利用しているほか、警察・消防・インフラ企業などで採用が進んでいます。
FASTALERTでの情報収集例を見てみましょう。
先ほど挙げた2018年台風21号では、大阪府や京都府、兵庫県など広い範囲で被害が見られました。
自治体や国、報道機関もその全容を把握できていなかったと考えられますが、FASTALERTによる収集では、寝屋川市内での被害や京都市内での被害など、細かい情報までカバーしていました。

③減災訓練

実際にSNSを使って防災・減災に取り組む流れも生まれつつあります。
静岡県下田市や東京都中央区豊洲などでは、SNSへの投稿をAIで分析して避難に役立てる「防災訓練」が実施されています。
この訓練では、SNSに投稿された孤立者などの被災状況や避難所に関する情報を分析してシステムに集約することで、救助などに役立てようとしています。
このようなSNS上の情報を利用した防災(=ソーシャル防災)は、今後さらに進んでいくと考えられます。

ソーシャル防災の効果

ソーシャル防災の効果についてまとめておきましょう。

ソーシャル防災に取り組むメリット:

  • リアルタイムの情報を手に入れることができ、初動対応が早くなる
  • 大規模災害時など、自治体や報道機関が本来把握できない範囲の情報まで直接手に入れることが可能になり、きめ細かい対応が可能になる

ソーシャル防災に取り組まないデメリット:

  • 被害の把握が遅れることで、初動対応も遅れる
  • 情報が消防や報道機関が把握している範囲にとどまってしまい、きめ細かい対応ができなくなる

ソーシャル防災のこれから

ソーシャル防災のうちSNS上の情報を利用した情報発信は進みつつある一方、情報の収集については十分に広まっているとはいえません。
しかし、全国の警察・消防・インフラ企業などでFASTALERTの利用が広がりつつある状況に鑑みると、これから一般企業や自治体でもSNSを活用した情報収集がいっそう求められると考えられます。
政府も「eガバメント」「デジタル・ガバメント」を推進しています。
公共サービスの効率化やITインフラの拡充に注目が集まりがちですが、防災分野でのIT技術の活用も掲げられており、国全体でソーシャル防災に取り組む必要性が高まっています。
その第一歩としてFASTALERTの導入は最適で、すでに多くの公的機関、企業で使われ始めています。
ソーシャル防災の潮流に乗り遅れないよう、まずはFASTALERTを導入されることをおすすめします。

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