災害時のBCP対応(事業継続計画)のリスクと事例を解説

      2019/06/27


地震や洪水などの自然災害、感染症や大事故と私たちの身の回りには常に災害の危険性が潜んでいます。

このような有事の際でも企業が事業を継続するためには、「どこで・いつ・どのような状態」になっているかを的確に把握しなければなりません。
そこで必要とされているのが事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)です。

災害時のBCPの最新事例

2018年6月18日に発生した大阪北部地震では社員との情報共有や安否確認が速やかにできた企業と、できなかった企業がありました

安否確認・出社指示ができた企業は、BCPを既に策定しており、18日の地震の際には、大阪市中央区にある本社勤務の社員を含む全従業員に対し、出勤が難しい場合には自宅待機、出社済みの社員には電車の運行再開後に速やかに帰宅するように指示しました。「安全な帰宅が最優先」(幹部)との判断によるものでした。

安否確認・出社指示に支障をきたした企業は、BCPの策定を検討はしていたものの、「細かく決めない方が動きやすい」(担当者)と方針を定めていたが故に、安否を確認できない社員が多数出てしまいました。

災害発生時に必要となるBCPのポイントとは

従業員の安否確認

災害によって壊滅的な被害を被った状況において、従業員やその家族の安全の確認は、経営者にとって、従業員が今まで通り仕事に従事できる状況であるかを判断するうえで必要不可欠です。

実際に災害発生時に従業員に安否確認を行ったにも関わらず、確認が取れるまで2日もかかったというケースがありました。企業ごとに自社に合う形での効果的な安全確認の方法をしっかりと事前に定め、日頃から対応訓練を実施することの重要性は高まっています。

生産の早期再開

災害時は人材や物資の不足に悩まされることが多くなってしまうからこそ、その予防策としての代替手段の確保は非常に有効です。

走行可能なフォークリフトを事前に購入していたため、震災時に走行クレーンの点検や修理を待たずに工場内の作業に活用ができ、事業の早期再開が可能になったケースも存在します。

耐震対策の効果

地震の前に行った災害対策が効果をあげた例も多く見受けられます。平成16年の中越地震を受けた機械製造業の企業はBCP対策として工場などの耐震工事を積極的に行いました。

具体的な取り組みとして、震度6強まで耐えられるよう1年がかりの改装・再建や、全ての機械設備に地震感知器の取り付けを行ったことが挙げられます。その結果として三年後に発生した中越沖地震では、2日で生産を再開することができました。

復旧計画

事業の継続が困難になった際、経営者が従業員に対して事業再開の具体的な目標時期を宣言することは、再開に向けた決意の表明として社内は勿論、社外にも絶大な効果を与えます。

しかしそのためには、建物や設備などの被災状況やインフラの復旧見込みなどを考慮した検討や、事業再建のための従業員や資金の確保のための準備を心がけなくてはなりません。

BCP策定は義務?事業継続計画に関する法律と条令

一般の企業に対してBCP策定を義務付ける法律や条例はまだ存在していません。
もちろん、国や各業界団体はBCPの策定を推奨しているので、ガイドラインの策定や支援事業の展開といったようなBCP普及のための支援策を様々に講じています。

しかしこうしたサポートを受けるか否かは企業次第であり、依然としてBCPは企業が独自に導入をする経営手法のひとつとしてしか認識されていません。
その一方、もしも実際に大きな災害が生じた場合、防災対策や避難計画が不足していたことが理由で、従業員の死傷者を出てしまった場合、あるいは事業再開の計画が不十分で商品を納品できなかった場合はどうなるでしょう。

こうした状況が発生した場合、遺族から安全配慮義務違反で訴えられたり、取引先から契約違反を問われて違約金を請求されたりする可能性が十分考えられます。BCP策定の義務はありませんが、存在しなければ困るという存在でもあるのです。

BCP(事業継続計画)を策定すべき理由

BCP策定は義務ではありませんが、その導入企業数は増加しています。その理由として主に外的リスクの増加、事業構造の弱体化、外部圧力の上昇が挙げられます。

外的リスクとは何も自然災害に限られた話ではありません。感染症やテロに加えSNSといったインターネットによる被害もひとつの災害として捉え十分に対策をとる必要があります。

供給連鎖は確かに平時の際は作業効率の上昇に大きく貢献していますが、どこか一か所の機能が停止してしまうと関連企業全体も操業が停止してしまう脆弱性も孕んでいます。BCPの導入は自社だけでなく、より広い範囲の企業を守る役割があるのです。

平成25年の時点で大企業のBCP策定済み・策定中の割合は7割を超えています。こういった背景が今後ますますBCP策定を促進させる圧力となるはずです。

BCPと防災対策の違いは?事業継続計画の特長


BCPと防災対策の違いは守る対象にあり、前者は事業を、後者は設備といったモノを対象としています。そのため、防災対策はあくまでもBCPの一部に過ぎないのです。

そのため、防災対策は災害ごとに異なる対策をとる一方で、BCPでは事業にとって望ましくない全ての事象に対して対策を講じる必要性が生じてきます。そこには当然人為的な災害も含まれるので、ありとあらゆるリスクを想定しなくてはなりません。

防災対策を行ったうえで、その対策が失敗した場合はどうすればいいのかといったことを考えるのがBCPです。この両者は決して片方だけで成り立つことはなく、組み合わせることで初めてその効果を最大限に発揮するのです。

まとめ:リスクマネジメント全体の見直し

BCPは、緊急時に事業継続のための戦略や具体的な対応策を検討していくものです。
しかし、企業の発展のためには、BCPを整備して終わりではなく、リスクマネジメント全体に対して高い意識を持っていることが重要です。

そのためには、常日頃から身の回りでどのような災害が発生しているのかを察知し、思考を続けることもまた必要不可欠です。

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