BCP訓練の概要・種類・手順まとめ。BCPの訓練で災害発生に備える

      2019/06/20

一度策定した事業継続計画(Business Continuity Plan = BCP)を最大限効果的に活用するためには、日頃からの訓練・演習による内容のブラッシュアップが必要不可欠です。

訓練という形で実際に行動してみることは、計画における予想外の不備や欠陥の発見はもちろん、非常時に正確且つ迅速に行動できる人材の育成にもつながります。ここではそのBCP訓練について説明させていただきます。

BCPの訓練の目的


BCPの訓練の目的として、中小企業庁は大きく以下の4つを挙げています。

①策定したBCPの実効性を評価すること

②各従業員のBCPに対する理解を深め、その活動に対して積極的に取り組むとともに、緊急事態発生時での各自の役割を明確に認識させること

③訓練によって計画を実際に行ってみることにより、BCPの不備や欠陥等の改正すべき点を明らかにして、それらを改定すること

④従業員間での連携・協力を促すこと 

訓練をはじめて行う場合、このような目的を運営・参加者の両方が念頭に置いて進めていくだけで、訓練自体の質は大きく高まるはずです。

BCPの訓練の種類


BCPの訓練といっても、そのやり方は多種多様です。ここでは代表的な5つの方法を紹介させていただきます。

【1】机上訓練

作成したBCPに沿って、議論形式でメンバーごとの役割を確認し、実際に活動できる  かどうか検討するもの

【2】電話連絡網・緊急時通報診断

緊急事態発生後、速やかに従業員に連絡がいきわたるかどうかを確認するもの

【3】代替施設への移動訓練

バックアップの工場や事業所を準備している場合は、復旧要員の一部を実際に移動さ   せ、その場所で事業を復旧させる計画を予行演習するもの

【4】バックアップしているデータを取り出す訓練

緊急時におけるBCP発動を想定して、バックアップしている電子データや書類を利用  できるように、バックアップ場所から取り出す訓練(情報システムを利用している場合  は、代替システムを準備し、問題なく起動させられるかどうかを試す訓練を含めること  が望ましい)

【5】BCP全体を通しで、始めから終わりまで行う訓練(総合訓練)

最も理想的な訓練は総合訓練ですが、時間や費用の負担もその分大きくなってしまいます。それぞれの事業に合った訓練を何度も行うことで練度を高めていくことこそがBCPの訓練では推奨されます。

BCPの訓練の手順


ここでは最も実践しやすいBCPの訓練として「机上訓練」の手順について説明させていただきます。訓練は大きく分けて「計画」「実施」「評価」の3段階に分かれています。

計画

訓練におけるテーマの設定と、それに伴ったシナリオ(状況付与表)の作成を行います。ここで日時や人物、場所といった具体的な被害想定を立てることで、訓練対象者も状況を具体的にシミュレーションすることができ、効果の高い訓練になります。

実施

実施するに当たって、「ワークショップ型」と「ロールプレイング型」の二種類の方法があります。

「ワークショップ型」は、訓練対象者でグループを編成し、状況付与表に沿って十分にディスカッションをしてもらい、どう行動すべきかなどを決定してもらい、グループごとに発表するといって形式の訓練です。

「ロールプレイング型」は、状況付与表と訓練対象者それぞれに与えられた役割をもとに、柔軟な対応を要求する訓練です。

評価:訓練終了後には、必ずその訓練全体を振り返って評価する機会を設けましょう。そこで浮上したBCPの不足点などを参考にし、課題とすることで更なるブラッシュアップが見込まれます。客観的且つ専門的な意見を得るために外部から専門家を招くのも良い手段です。

BCPの訓練の事例

BCPの対策はICT面でも効果的です。事業に関わる大多数の従業員がこのような情報システムを活用しているからこそ、全員が非常時における対応を理解する必要性は高いのです。

下記一覧表は、実際にBCPの妥当性確認のために企業が行ったウォークスルー訓練の訓練概要です。先ほど説明したように、まずは事前に策定した行動計画をもとに読み合わせを行い、課題点や改善点の洗い出しを行います。

訓練では策定済みのICT-BCPや行動手順を参考に読み合わせを行い、参加者は実際に自らが被災した場合を想定して手順の確認を行うのですが、その際、この事例のようにファシリテーターを置くことでより実践的な訓練になります。

ファシリテーターの役割は、直接議論には参加せず、各役割の行動手順の実行可能性について、訓練参加者に質問することで行動手順の改善点をチェックすることです。また、刻々と変わる被害状況を参加者に報告し意識させるという役割も担っています。

BCPの訓練のポイント

BCPを改善していくうえで最も重要なことは、訓練中に浮上した「課題」、そして「不明点」「疑問点」などの小さな気づきです。

「ここの手順が複雑で分かりにくい」といった個人の気づきを全体で共有しやすいような環境の整備は勿論、訓練の時間外でも気づいたことがあればそれを積極的に問題として提起できる個人の安全への意識があって初めて、柔軟なBCPマニュアルは策定できます。

最後にまとめ


BCPの訓練は、運営側として働く防災担当者の安全意識を最も向上させます。従業員の安全意識の向上だけでなく、自身の安全意識を研鑽するという意味でも積極的に取り組むことが大切です。

 - BCP 基本情報