BCM(事業継続マネジメント)とは?BCP、BCMSとの違いを踏まえてポイントを解説

      2019/09/05

企業や自治体が事業継続のために行う「BCM(事業継続マネジメント)」や「BCP(事業継続計画)」、「BCMS(事業継続マネジメントシステム)」がどういうものかについて、この記事では解説します。最初は「BCM(事業継続マネジメント)」の概要について説明します。

BCM(事業継続マネジメント)とは


BCMとは、「Businees Continuity Management」の頭文字を取ったもので、日本語訳すると「事業継続マネジメント」となります。
自然災害、大事故、テロなどの緊急事態が発生したときに、事業の中断を極力抑え、被害を最小限にすることを目的とするマネジメント全般のことです。

BCMは「マネジメント全般」を指す言葉なので、緊急事態発生時の対応だけではありません。緊急事態発生時に使うツールの選別、マニュアルの作成、従業員への意識の浸透など、「事業継続」にまつわるマネジメント全般が「BCM」の中に含まれます。

BCMの重要性

事業がストップしてしまうと企業としての信頼を失ってしまいます。
また、近年では産業の分業化や外注化が進んでいるため、1つの事業が止まってしまうことで他の多数の事業に悪影響を及ぼしてしまいます。
場合によっては事業がストップしたことで、従業員や顧客の生命や健康にリスクを生み出すことにも繋がりかねません。そういった点から、企業や自治体にはBCMが必要不可欠です。

BCM構築の5つのステップ

BCMの構築には次の5つのステップがあります。

  1. 自らの企業を理解・分析する
  2. 分析を元にBCMの方針を決定する
  3. BCMの方針を元に具体的な対応策を構築する
  4. 対応策を企業内に浸透させる
  5. 対応策のレビューし、実地に合わせて修正する

まず最初は、自らの企業・事業を理解することです。企業がどういった事業によって構成されているのか、どの事業が最も優先順位が高いのか、どういった緊急事態が発生したらどの程度の損害が出るのか、などを分析します。

次は、分析を元にBCMの方針を決定します。その次は、決定されたBCMの方針を元に具体的な対応策を決めます。

その次のステップは、対応策を企業内に教育や訓練を通じて浸透させていきます。
企業で働く1人1人が緊急事態発生時の対応を知らなければせっかく決めた対応策もうまく機能しないからです。
最終ステップとしては、それらの対応策のレビューを行い、実地に合わせて細かく修正を重ねていくこととなります。

BCMを定める規格「ISO 22301」

事業の中断を極力抑え、被害を最小限にすることを目的とする経営手法・BCMですが、これには国際規格があります。
国際標準化機構(International Organization for Standardization,ISO)が2012年に作成したもので、「ISO 22301」と呼ばれています。
検討を開始してから認証を獲得するまでには場合によって大きく異なりますが、認証の取得にはおよそ1年ほどの期間を要します。

英国規格協会(BSI)が発行する「BS 25999」

なお「ISO 22301」のほかには、英国規格協会(BSI)が発行している「BS 25999」という規格があります。
2006年11月に発行された実践規範の「Part 1」と、2007年11月に発行された認証用規格の「Part 2」とで分かれています。
「ISO 22301」は、この「BS 25999」をベースにして作られています。

BCP(事業継続計画)とは


「BCP」は「Business Continuity Plan」の頭文字をとったもので、日本語訳すると「事業継続計画」となります。自然災害や大事故、テロなどが発生したときに、事業の中断を極力抑え、被害を最小限にするための計画です。
「BCM」が事業継続のためのマネジメント全般のことを指すのに対し、「BCP」は事業継続のための計画のことを指します。

BCMとBCPの重要性

「BCM」と同様に、「BCP」がしっかりと決まっていないと緊急事態の発生時に事業がストップすることになってしまいます。事業が中断し、しかも長く続くとなると、信頼の喪失や、損害の拡大、従業員や顧客の生命の危機に繋がることもあります。

自然災害や大事故、テロなどの緊急事態発生時には必ずと言っていいほど混乱が生まれ、状況の把握が難しくなります。
対応方針や避難方法、復旧プロセスがあらかじめ決まっていることで生じる混乱を最小限に抑えることができます。だからこそ、「BCP」という形で事前に策定しておく必要があります。

BCPの策定は法律上での義務にあたるのか

現在、BCPの策定を直接義務付ける法律や条例などはありませんが、企業としての信頼や従業員と顧客の安全を守るためにも策定することが望ましいです。

策定したBCPを公開することで、「この会社は緊急事態が発生しても、大きな問題ならない会社なんだ」と対外的にアピールすることもできます。

ちなみに「第8回 事業継続マネジメント(BCM)に関する実態調査」(2019)によると、BCPを策定している企業は56.0%で、BCPに関する訓練を年1回以上実施している企業の割合は58.8%でした。
この2つの数字はどちらとも前回調査(2016)から上昇しており、BCPが各企業に浸透しつつあることが分かります。

BCMS(事業継続マネジメントシステム)とは


「BCMS」とは、「Business Continuity Management System」の頭文字をとったもので、日本語訳すると「事業継続マネジメントシステム」となります。

BCMやBCPに関する仕組みは、作成しただけではうまく機能しません。
作成後も、BCMやBCPを経営の仕組みの一体化させたり、環境の変化に応じて内容をチェックし、改善していく必要があります。

BCMS(事業継続マネジメントシステム)とは

BCMやBCPの検証、改善、最適化を組織的に行っていくしくみのことを「BCMS」といいます。
企業や事業を取り巻く環境は年々変化しますし、万全と思っていたBCPがうまく機能しないこともあります。BCMSの中で、しっかりとモニタリングや修正、管理を行うことが望ましいでしょう。

最後に:BCM、BCP、BCMSの違いのポイントとは

参考までにそれぞれの違いについて触れておきます。
BCPもBCMもBCMSも「Business Continuity」、つまり「事業継続」に関する言葉ではありますが、それぞれ指す範囲が異なります。

「BCM」は、事業の中断を極力抑え、被害を最小限にすることを目的とする経営マネジメント全般のことを指します。

「BCP」は事業継続に関する方針、手順などを「計画」という形にしたものです。

それらに対し、「BCMS」は「BCM」や「BCP」がより機能するように、他の分野と連携させたり、環境の変化に合わせてチェックや改善を行う仕組みのことです。
以上が、それぞれの言葉の定義の簡潔なポイントです。

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