企業が災害対策に取り組むべき理由と効果的な対策方法

   


台風や地震などの自然災害だけでなくインフルエンザの集団感染など多様化する災害に対して、企業は事業を守るためにあらかじめ災害対策を行っておくことが重要です。

しかし、どのような災害対策を企業に導入すればいいのか分からないという方も少なからずいるでしょう。

今回はそんな方のために企業の災害対策の基本と具体的な対策方法などを解説していきます。

この記事を読むことで効果的な災害対策を行えるようになるので、ぜひ読み進めてください。

企業に災害対策が求められる理由


自然災害やシステム障害など様々なリスクを抱えている事業を守るために企業でも災害対策を行っておくことが大切です。

あらかじめ対策を立てておき災害などのリスクに備えておけば、災害などによる事業の被害を最小限におさえることができるばかりか、事業の早期復旧を図ることができます。

また事業の継続や復旧を行うためには従業員の安全確保が欠かせず、企業が災害対策を怠っていたことが原因で従業員に被害を与えてしまった場合、「安全配慮義務違反」として法的責任を問われ、損害賠償を従業員に支払わなければなりません。

厚生労働省により安全配慮義務が記載されている労働契約法の第5条では、以下のように定められています。

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

これは災害時においても決して例外ではなく、予想できる災害などのリスクに関してはできうる限りの対策を行うことが求められています。

そのため、事業を様々なリスクから守るためにも災害対策を行っておきましょう。

企業を取り巻く主なリスク


企業には様々な災害が取り巻いていますが、具体的にはどのような種類があるのでしょうか。

災害を大きく分けると自然災害・人為災害・特殊災害(CBRNE災害)の3種類になります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

【自然災害】
自然現象によって引き起こされる災害のこと。台風、地震、洪水、豪雨、高潮、洪水、噴火、土砂崩れなどが含まれる
【人為災害】
①都市災害
火災、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動など

②労働災害(産業災害)
メンタルヘルスなど労働が要因となって従業員が負傷したり、疫病にかかったりする災害

③交通災害
交通事故や飛行機・船舶の事故など

④管理災害
ずさんな計画や操作ミス、管理の怠慢などによって発生する災害

⑤環境災害
水質汚濁など環境破壊が要因となって起きる災害

【特殊災害(CBRNE災害)】
①Chemical(化学)
有害物質の漏洩や化学兵器によって引き起こされる災害

②Biological(生物)
生物剤・病原体や感染症のパンデミックによる災害

③Radiological(放射性物質)
放射性物質の流出など原子力発電所の事故、放射能兵器によるテロ

④Nuclear(核)
核兵器によるテロ

⑤Explosive(爆発)
事故やテロが要因となって発生する爆発

通常の企業では特殊災害が起きるはずがないと考える方もいるかもしれませんが、Biological(生物)に分類されるインフルエンザの集団感染などは日本でも頻繁に発生しています。

企業によって優先的に対処するべき災害は異なるため、自社で想定される災害を洗い出した上でよく分析しておきましょう。

企業が行うべき災害対策


ここまで企業を取り巻く災害の基礎知識を紹介しましたが、どのような災害対策が効果的なのかよく分からず困っているという方もいるのではないでしょうか。

ここでは実践的な災害対策を具体的に説明していくので、ぜひ読み進めてください。

BCP・防災マニュアルを策定する

まずはBCP・防災マニュアルを作成しておきましょう。

BCP・防災マニュアルで災害などのトラブル発生時の対応が記載しておけば、万が一の事態が発生した際に従業員が適切に対処できるようになります。

また作成したBCP・防災マニュアルを従業員に浸透させるため定期的に教育・訓練を行って、その度に内容を改善していきましょう。

こうすることでより完成度の高いBCP・防災マニュアルになっていくはずです。

BCPと防災マニュアルをより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

BCP策定の基礎知識と読んで得する策定の6つの手順

防災マニュアルの効果的な作り方と防災に必要な2つの対策

備蓄品を確保しておく

従業員のために食糧などの防災グッズを揃えておきましょう。

一般的に水道・ガス・電気のライフラインの復旧や支援物資の到着までに3日程度かかると言われています。

広範囲にわたる災害が発生した場合も考慮して3日分を最低限とし、余裕を持って1週間分の防災グッズを用意しておくと安心です。

また東日本大震災を機に内閣府が発表した「東京都帰宅困難者対策条例」の条例第17号では、以下のように定められています。

事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の三日分の食糧等の備蓄についての努力義務を課します。

この条例の対象者は正規・非正規を問わず事業所内で働く全従業員であり、全従業員分の防災グッズを確保しておくことが理想的です。

努力義務とは「〜するよう努めなければならない」という意味合いであり、この条例に違反したからといって特に罰則はありません。

しかし防災グッズを一切用意しなかったことが原因で従業員に損害を与えてしまった場合、前述した安全配慮義務違反に問われるおそれがあるため、できうる限りの防災グッズを用意しておくと良いでしょう。

防災グッズの基礎知識や揃える防災グッズの量などを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

揃えておきたい防災グッズの基本と必要な防災グッズ18選

防災で準備するべき食品「非常食」のおさえておきたい基礎知識

データやシステムのバックアップを行う

災害などのトラブル発生後に事業継続や早期復旧を図る上で重要になるのがデータなどのバックアップです。

そのため、被害を受けたシステムなどの復旧を図る仕組みや体制であるDRを導入しておきましょう。

被害があったデータなどを一度に復旧させようとすると余計なコストが発生してしまいますが、事前に DRで目標復旧時間や目標復旧レベルなどを明確に定めておけば、最小限のコストで最短の復旧を行えます。

より詳しくDRを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

BCPとDRの違いと知って得するDRの予備知識

避難ルートを決めておく

事業所内にキャビネットの転倒など被害が少ない場所を安全ゾーンに定めた上で、事業所からの避難ルートを従業員がすぐに把握できるようBCP・防災マニュアルに地図を記載しておきましょう。

またあらかじめ避難場所を国土交通省が提供するハザードマップポータルサイトなどで確認しておき、避難場所への避難ルートを決めておきます。

災害発生時は何が起こるのか分からないため、避難ルートは複数選んでおくと安心です。

事業所内に安全対策を施しておく

事業所内を確認し、できうる限りの安全対策を行っておきましょう。

以下に紹介している方法はいずれも簡易的に行える対策ですが、二次被害を最小限に抑えることができます。

【棚やキャビネット】
なるべく壁につけて突っ張り棒などで固定する。転倒を防ぐために重量のある物は下に置く。

【パソコンやコピー機などのOA機器】
落下や転倒による負傷を防ぐため、ジェルマットなどで固定する。

【壁の掛け物や照明】
落下しないようにバンドで固定する。

【窓ガラスなど】
飛び散ってケガをする可能性があるため、飛散防止シートを貼る。

まとめ

今回は企業の災害対策の基礎知識と具体的な対策方法を説明しました。本記事の重要なポイントには、次の2点があげられます。

  • 災害対策は被害を最小限に抑えられるばかりか、事業の復旧をスムーズに行える
  • 災害対策を怠っていた場合、安全配慮義務違反に問われるおそれがある

この記事を参考にきちんと対策を行って災害に備えましょう。

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