被災者を支援する災害見舞金の基本と覚えておきたい注意点

   


地震や台風などの自然災害が毎年のように発生する日本。いつどこで自然災害が発生するかは明確には分からず、取引先や自社の従業員が被災してしまうケースもあります。そんな場合に支援の1つである災害見舞金が役立ちます。

しかし、災害見舞金の対応に慣れておらず、どのように災害見舞金を支給すれば良いのか分からないという方も少なからずいるでしょう。

今回はそんな方のために災害見舞金の基本とその注意点などを紹介していきます。この記事を読むことでスムーズに災害見舞金を支給できるようになるので、ぜひ参考にしてください。

災害見舞金とは


災害見舞金とは、台風や地震などの災害によって被害を受けた方を支援するために送られる金銭のことです。被災者となった住民や従業員などに行政機関や企業が支払います。

企業の場合、災害見舞金制度は義務づけられていませんが、取引先が被害を受けると自社にもその影響が及ぶ可能性もあるため、リスク管理の観点で導入した方が良いでしょう。

古いデータになりますが、財団法人労務行政研究所が発表した「緊急アンケート 東日本大震災への企業の対応」によれば、震災後に災害見舞金を支給した企業は「新たに災害見舞金制度を設けた(設ける)」を含めると全体の8割にのぼります。

近年の日本では台風や地震などの自然災害による被害が多く発生しているため、取引先や自社の従業員を支援する災害見舞金の重要性はますます高まっていると言えるでしょう。

災害見舞金は基本的に交際費や福利厚生費になる


企業が取引先や従業員へ送る災害見舞金は、通常は交際費や福利厚生費として扱われます。

しかし国税庁の「取引先に対する災害見舞金等 61の4(1)-10の3」によれば、以下のように業務を行う上で重要な取引先などが被災した際に災害見舞金を送る場合は、交際費には当てはまりません。

法人が、被災前の取引関係の維持、回復を目的として災害発生後相当の期間内にその取引先に対して行なった災害見舞金の支出または事業用資産の供与もしくは役務の提供のために要した費用は、交際費等に該当しないものとする。

この場合の災害見舞金は、商品をより売り出すために販売業者などに支払う販売奨励金(リベートまたはインセンティブ)の1種と判断されるので、覚えておきましょう。

また自社の従業員に対する災害見舞金は、一定の基準によって福利厚生費として判断されます。

国税庁の「従業員等に支給する災害見舞金品」によれば、福利厚生費として認められるための一定の基準には以下2つがあります。

①被災した全従業員に対して被災した程度に応じて支給されるものであるなど、各被災者に対する支給が合理的な基準によっていること
②その金額もその支給を受ける者の社会的地位等に照らし被災に対する見舞金として社会通念上相当であることが必要

すでに退職した従業員や採用内定者に送る災害見舞金に関しても上記の基準をもとに福利厚生費か否かを判断されます。

災害見舞金が交際費や福利厚生費、販売奨励金のどれに当てはまるか把握しやすくなるように、企業であらかじめ災害見舞金の制度をきちんと作っておくと良いでしょう。

また法人・企業から災害見舞金を受け取った場合、受け取り主の社会的地位や送り主との関係性などに社会通念上相当と認められれば、贈与税・所得税の課税の対象にはなりません。

災害見舞金は主に3種類ある


政府が定めた「災害弔慰金の支給等に関する法律」によれば、自治体が住民に対して支給する災害見舞金には以下の3種類があります。

【災害弔慰金】
自然災害によって死亡した方の遺族に対して、500万円または250万円が支払われる。
【災害障害見舞金】
精神または身体に重度の障害が発生した被災者に対して、250万円または125万円が支払われる。
【災害援護資金】
約1ヶ月以上の療養が必要な世帯主や住居・家財の損害が基準を満たす場合に、生活の立て直しを支援するために350万円を限度として貸付を行う
※豪雪、豪雨、洪水、地震、台風などの自然災害による被害が対象となります。

災害障害見舞金は、重度の障害を負った場合に限定されており、具体的には「災害弔慰金の支給等に関する法律 別表(第8条関係)」による以下8つの基準のいずれかに当てはまる方が対象となります。

そのため、災害弔慰金と比較すると災害障害見舞金の申請は非常に少ないです。

①両目を失明したもの
②咀嚼および言語の機能を廃したもの
③神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
④胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
⑤両上肢をひじ関節以上で失ったもの
⑥両上肢の用を全廃したもの
⑦両下肢をひざ関節以上で失ったもの
⑧両下肢の用を全廃したもの
⑨精神または身体の障害が重複する場合における当該重複する障害の程度が前各号と同程度以上と認められるもの

また千葉県佐倉市などの自治体によっては、「災害弔慰金の支給等に関する法律」の基準を満たさない方のために以下のような住宅災害見舞金や障害見舞金の支給が制度化されています。

企業で災害見舞金を制度化する場合は、このような自治体の災害見舞金の制度を参考にしながら、支給額を考えると良いでしょう。

【住家被害】
・全壊:一世帯につき、200,000円
・半壊:一世帯につき、80,000円
・床上浸水:一世帯につき、80,000円
【人的被害】
・死亡:1人につき、200,000円
・傷害(1ヶ月以上):1人につき、50,000円
出典:佐倉市災害見舞金

災害見舞金の4つの注意点


ここまで災害見舞金の基礎知識を紹介しました。

次に災害見舞金を支給する際に気をつけるポイントを説明していきます。どれも参考になる情報ばかりなので、ぜひ参考にしてください。

災害見舞金の支給額を決めておく

あらかじめ企業で災害見舞金の支給額を決定しておくと良いでしょう。

企業実務が独自に行なったアンケート「もしも社員の自宅が被災したら…。会社が出す災害見舞金の相場」によれば、企業が取引先や自社の従業員に支給する災害見舞金の相場は1万円〜50万円程度となっています。

もちろん、災害見舞金は以下の項目を考慮した上で支給額を決めると良いでしょう。

  • 役職の有無
  • 世帯主か否か
  • 持ち家か借家か
  • 被害状況
  • 被災したのは事業所か個人宅なのか

熨斗や水引を使わない

災害見舞金を送る際は、熨斗や水引を使わず、白い封筒に包むようにしましょう。というのも熨斗は祝い事に使う飾りなので、災害見舞金の封筒には適切ではないからです。

また「2度と繰り返さないように」という願いを込めて結び切り(固結び)と呼ばれる水切を使用する場合もありますが、あらぬ誤解を相手に与えてしまうおそれがあります。

そのため、飾りのついていないシンプルな白い封筒を選ぶと良いでしょう。白い封筒に災害見舞金を包む場合は、中央に「災害見舞金」「災害御見舞」などと書き、その下段に送り主の社名や名前を書くようにします。

送るタイミングを考える

災害見舞金は被災直後ではなく、取引先や従業員の復旧作業などが進んで、一段落ついてから送るようにしましょう。

というのも被害状況によっては交通網の麻痺によって手渡しや郵送が難しい場合もあり、さらに復旧作業で落ち着いていない状況であれば取引先などに余計な負担をかけてしまうおそれがあるからです。

また被害状況によっては災害見舞金だけでなく食糧などの防災グッズを送った方が良い場合もあるため、取引先や従業員の状況をよく確認しておくと良いでしょう。

より詳しく防災グッズを知りたい方は以下の記事をご覧ください。

揃えておきたい防災グッズの基本と必要な防災グッズ18選

忌み言葉に気をつける

災害見舞金の他に手紙を送る際は、時候の挨拶や自社の近況などは一切書かずに取引先を労わる言葉や手助けを申し出る言葉だけを書くようにしましょう。

また意図せずに使ってしまう場合もありますが、以下のような表現は決して使わないようにしてください。

  • 重ね重ね
  • ますます
  • 引き続き
  • 追って など

上記のような表現は、災害の繰り返しを相手に連想させるため、災害においては忌み言葉となります。

相手に大変失礼になるため、手紙を送る前にこれらの表現が含まれていないかをよく確認しておくと良いでしょう。

まとめ

今回は災害見舞金の基礎知識とその注意点などを紹介しました。本記事の重要なポイントには次の2点があげられます。

  • 災害見舞金を制度化し、交際費、福利厚生費、販売奨励金のどれに当てはまるかを把握する
  • 災害見舞金は役職の有無や被害状況などによって支給額を変更する

この記事を参考にして適切に災害見舞金を送りましょう。

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